脊椎・関節センター

脊椎・関節センター

開設にあたり

 私(前田)が当院に赴任した2019年11月より当院において脊椎疾患に対する手術を開始し、2022年12月までの3年2ヶ月間で計662件の脊椎手術を行いました。また以前から当科では膝関節、股関節など関節疾患に対しての人工関節手術、骨切り術などを行なってきており、例年200例を超える関節手術が行われています。2022年4月からは人工関節専門医である米津が当科に赴任し人工関節手術を行なっており、また肩関節においても肩関節内視鏡手術である中井が2021年12月より当科で肩関節内視鏡手術を行なっています。
 つきましてはこの度、2023年1月より、整形外科の中での大きな柱である脊椎外科、関節外科に関して、より特化し、充実した治療を行うべく、脊椎関節センターとしてこの分野を院内でセンター化することと致しました。最新、最善の手術を行うことで更なる治療成績の向上を目指したいと存じます。

脊椎外科 センター長 前田徹

症例数

 脊椎外科
 2019年11月〜2020年12月
 脊椎手術:199件
 腰椎160件、頚椎35件、胸椎4件(胸腰椎移行部は腰椎に含む)
 除圧術97件固定術102件
 腰椎椎間板ヘルニア Love法25件、全内視鏡手術(FED)14件、
 腰部脊柱管狭窄症 除圧術25件、
 腰椎すべり症、腰椎変性側弯症、脊柱変形 脊椎固定術74件
 後方椎体間固定(PLIF)45件、側方椎体間固定(OLIF、XLIF)28件
 骨粗鬆症性椎体骨折 BKP 9件
 椎体骨折後偽関節 側方進入前方支柱再建(corpectomy) 6件

 2021年1月〜2021年12月(疾患部位別)
 脊椎手術240件
 頚椎
  頚椎症性頚髄症           21例
  頚椎後縦靱帯骨化症         16例
  頚椎椎間板ヘルニアによる頚髄症  1例
  頚椎神経根症  2例
 腰椎
  腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症   110例
  腰椎椎間板ヘルニア         50例
  成人脊柱変形、腰椎側弯後弯症     27例
  その他               13例
                   計240例 

 2021年1月〜2021年12月(術式別)
 脊椎手術240件
 頚椎椎弓形成術 39件
 頚椎後方固定術 1件
 胸椎後方除圧固定術 3件
 腰椎全内視鏡手術 21件
 Love法 29件
 腰椎後方除圧術 40件
 腰椎後方椎体間固定術 PLIF 46件
 腰椎側方椎体間固定術 XLIF 32件
 腰椎後方後側方固定術 PLF 12件
 胸腰椎前方支柱再建 corpectomy 5件
 BKP  2件
 その他 10件

代表疾患

 当院で行なっている脊椎手術の対象疾患を以下にお示し致します。

脊椎外科の手術対象となる代表疾患

特徴

 頚椎胸椎腰椎と脊椎疾患に対する標準的な手術術式を行なっていることは当然ですが、加えて、当科では胸腰椎移行部、腰椎において側方経路椎体間固定術という手術を行なっています。
 2013年に日本に導入された腰椎側方椎体間固定術(XLIF,OLIF)および側方進入による椎体亜全摘、前方支柱再建(corpectomy)を積極的に行なっています。側方椎体間固定は左後腹膜腔を経由し腰椎の横からアプローチする手術方法で、椎体間に大きなケージを挿入することができ、側弯などの脊柱変形を矯正する力が強く、固定力も強力で、また出血量が少なく低侵襲であるなど多くの利点があり近年国内においても徐々に広まっている術式です。私は前任地の愛知県にいた2016年から側方進入手術を開始し、現在までに約200例の側方手術を行なっています。変性側弯、成人脊柱変形などの矯正固定術に有用で、手術成績も良好な結果が得られています。

PLIF OLIF XLIF それぞれの進入経路

手術術式

以下に代表的手術術式の画像をお示し致します。

・腰椎すべり症に対する椎体間固定術 後方手術と側方手術
腰椎椎体間固定術
・成人脊柱変形に対する変形矯正手術
変形矯正手術
・骨粗鬆症性椎体骨折偽関節に対する前方後方固定
前方支柱再建+後方固定

人工関節

脊椎関節センター開設に伴い、人工膝関節全置換術では手術支援ロボットを導入しました。人工膝関節置換術は、変形性膝関節症の患者さんに行う代表的な手術であり、本来の膝関節機能を再現できるように正しい位置に人工関節を設置する手術です。
しかし、従来の方法では、骨を削る量や角度は医師の経験や技術、感覚に頼るところがありました。

当院で導入するROSA Kneeシステムは、膝の位置を正確に把握し、人工膝関節を置換するための骨切り量を0.5mm、0.5度単位で微調整が可能であり、従来の手術よりもさらに正確性が高く、合併症の少ない安心・安全な手術が実施できます。

当院での人工関節の手術(股・膝)は、日本人工関節学会認定医が執刀医または第1助手として行います。
手術によって関節の痛みから解放され、趣味や運動を楽しみ、健康寿命を延ばせる可能性があることを知って頂きたいと願っています。
膝や股関節の痛みで困っている方は、当センターを受診してください。

* ROSA Kneeは医療保険の適用ならびに臨床使用が認められた医療機器として承認されています。
ROSA Knee
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