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リウマチ科

外来医師診療表


  受付時間 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
午前 8:30~11:30 答島 章公
答島 章公
(新患のみ)
答島 章公
答島 章公
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米田 和夫
(予約のみ)
米田 和夫
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午後 答島 章公
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答島 章公
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答島 章公
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特色と診療内容


リウマチセンター


 複数の医療機関を受診しても原因の分からない、首や肩、背中、腰、臀部、股関節や手足などの痛みや強ばりは、脊椎関節炎の可能性があります。当センターでは1日で血液検査、X線写真、関節エコーやMRI撮影を済ませ、症状の経過や身体所見、画像所見から、その日の内に診断できることも少なくありません。必ず、予約のお電話をいただいてからお越し下さい。症状が強い初診の方は、優先的に診察させていただきます。
当センターでは関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、全身性エリテマトーデス、ベーチェット病、血管炎症候群など膠原病の診療をおこなっており、特に脊椎関節炎の患者さんが多いのが特徴です。以下に、その脊椎関節炎の概要を述べさせていただきます。

~子供から大人まで、大勢います。メタボでストレス時代の関節炎~


脊椎関節炎の患者像

 首や肩、鎖骨や肩甲骨、背骨や腰が痛い。股関節が痛くて正座ができない、あぐらが組めない。臀部が左右交互に痛くなる。下肢や手が痺れる。朝に手や指が腫れて、強ばる。手首や指の関節が痛い、膝、足首や踵、足底、足背が痛い。このような症状のうち、いくつかを訴えて医療機関を受診され、リウマチ因子やCRP、抗核抗体などの血液検査や、X線写真、MRI等の画像検査を受けても痛みの原因と説明できるような所見が無く、複数の医療機関で痛みの原因となる身体所見は無いと言われ、「こんなに痛いのに、原因が分からず不安」、これが脊椎関節炎の患者像です。また、痛みの部位が移動したり、範囲が広いことから「線維筋痛症」と診断され、リリカやサインバルタ、トラマール等が処方されていることも少なくありません。



脊椎関節炎診断のポイント


 複数域の関節症状を訴えている人を診察するとき、まず手足の爪を観察します。脊椎関節炎に合併する爪乾癬と言われる病変には、横溝や点状陥凹、爪が剥がれたように見える爪甲剥離や、水虫のように爪が分厚くなった爪甲下角質増殖などがあります。



同時に、指や趾が腫れていないか、観察します。
典型例ではソーセージの様に指全体が腫れていますが、爪に最も近い関節の腫れが目立つ場合もあります。



次にエコー検査で、手足や肘、肩、鎖骨、膝などの関節が腫脹し痛む部位を観察します。脊椎関節炎では、腱や靭帯、筋膜、関節・滑液包(滑膜含む)、脂肪が骨に付く部位(付着部)の炎症(付着部炎)が血流シグナル(赤)の増加として確認されます。



CRP、赤沈やリウマチ因子、MMP-3など血液検査も実施し、1時間程で結果が分かります。

関節のX線写真も撮影します。脊椎と手足は2方向から撮影し、靭帯棘や骨新生、骨びらんの有無を確認します。臀部の仙腸関節は正面、左右側面の3方向から撮影し、関節間隙の不整や骨硬化などを調べます。



腰や背骨、臀部に痛みのある患者さんでは、炎症性腰背部痛の問診を行います。



炎症性腰背部痛が疑われる場合には仙腸関節MRI(STIR:脂肪抑制画像)検査も施行し、仙腸関節周囲の腸骨や仙骨に炎症所見が無いか調べます。



患者さんには午前中に来院していただき、1日でこれらすべての検査を行うことで、その日のうちに診断が確定する場合もあります。関節リウマチと違い、脊椎関節炎は無治療でも数日で痛みが軽減し緩解と増悪を繰り返しますから、患者さんの症状が強いときに1日で全ての検査を済ませることが大切と考えています。



 若年者や発症初期で画像所見に異常が認められない場合には、後日ご家族にも来院していただきます。両親や祖父母が腰や膝などの痛みとともに爪の変形や乾癬の皮疹を有していて、家族歴からご本人も脊椎関節炎(関節症性乾癬)と診断されることも少なくありません。

脊椎関節炎は珍しい疾患では無く、Common Disease(ありふれた疾患)

脊椎関節炎は、潰瘍性大腸炎やクローン病も含まれる炎症性腸疾患と同じTNF(腫瘍壊死因子)等のサイトカインが原因の疾患であり、炎症性腸疾患との合併例も多く、深い関係にあります。潰瘍性大腸炎やクローン病の患者数はこの30年間で8倍以上に増え、食餌やストレスなど生活習慣の変化が原因と考えられています。脊椎関節炎も炎症性腸疾患やメタボリックシンドロームと関連しており、患者数は炎症性腸疾患と同様に増加していると考えられます。



 脊椎関節炎の中でも典型的な病型とされてきた強直性脊椎炎に関しては、約20年前に行われた全国規模の患者調査において有病率が0.02~0.03%と推測されていますが、強直性脊椎炎との関連性を指摘されているヒト白血球抗原(HLA) -B27の陽性率が日本人では0.4%と少なく、強直性脊椎炎の患者さんは日本では海外に比べて少ないのは事実です。しかし、急激な体重増加など肥満が発症に関連している乾癬性関節炎は、未だ診断されていない患者さんも含めると大勢居ると思われます。

脊椎関節炎の病態とSpA患者増加の背景


 脊椎関節炎の病態は、付着部炎です。これは腱や靭帯、筋膜、関節・滑液包、脂肪などが骨に付着する部位に起こる炎症です。付着部炎は白血球や間質細胞から放出されたIL-23、IL-17、TNF等のサイトカイン(細胞間のメッセージ物質)が関与し、骨芽細胞や破骨細胞に作用して骨増殖(骨新生)や骨破壊を促進します。



活発に働いている内分泌器官である脂肪細胞もまた、TNFなどの炎症性サイトカインを産生します。肥満の人では、脂肪細胞が中性脂肪などを吸収して巨大化し、多量の炎症性サイトカインを放出し、全身炎症が増悪して乾癬や関節炎が悪化します。髙脂質・糖質食は炎症を増悪させ、魚の油や野菜(食物繊維)は炎症を減少させるとする報告もあります。関節炎は、食生活と密接に関係していると言えます。



腸内細菌も、付着部炎の病態に深く関与しています。クロストリジウムやバクテロイデス等のある種の腸内細菌は、食物繊維を材料として酢酸、酪酸、プロピ オン酸などの短鎖脂肪酸を産生します。酢酸は脂肪細胞の表面にくっ付いて、細胞内に脂肪が取り込まれるのをブロックします。すると脂肪細胞は巨大化することなく、また細胞膜上にある短鎖脂肪酸受容体が活性化してインスリン感受性を高め、全身のエネルギー消費が高まり、肥満が解消されるのです。また、酪酸やプロピオン酸は制御性T細胞を増加させ、過剰な免疫応答が制御されて炎症性サイトカインの発現を抑制します。
食物繊維を多く摂ることは、肥満を改善させるだけでなく、サイトカインによる関節炎を鎮静化させる可能性があります。 徳島県はBMI 25以上の肥満者の割合が、幼稚園児から高齢者に至るまでどの年齢層でも全国平均を上回っており、以前には野菜摂取量が全国で最低レベルの時もありました。野菜摂取量が少ないと食物繊維の摂取量も少なくなり、脊椎関節炎発症のリスクが高いと考えられます。

脊椎関節炎の治療


脊椎関節炎の初期治療は消炎鎮痛剤ですが、四肢の関節炎では関節リウマチの治療と同じように、メトトレキサートやスルファサラゾピリジンといった経口の免疫調節薬を使用し、効果不十分であれば、TNF阻害剤やIL-23阻害剤、IL-17a阻害剤などの生物学的製剤を用います。脊椎や仙腸関節などの痛みや付着部炎、指趾炎では、消炎鎮痛剤を使用して効かなければ、次に生物学的製剤を用います。



薬物療法と同時に、食餌指導も大切です。前述のように肥満では脂肪細胞の巨大化により炎症性サイトカインが増加しますから、日常の食生活で食物繊維の摂取を推奨し、糖質など炭水化物の摂取を抑えること(カロリー・ゼロやオフ食品はインスリン分泌を促進し、食欲を増進させるので良くない)により、腸内環境を改善させることが重要と考えられます。

働き盛りに原因の分からない腰背部痛や頸部痛、四肢の関節症状に悩まされ、仕事を続けられなくなっている脊椎関節炎の患者さんが大勢います。そのような人たちを、できる限り早く救って差し上げたいと、いつも念じております。

(阿南医療センター リウマチセンター スタッフ一同)


医師紹介



主任部長

答島 章公

【資格】
日本内科学会(指導医・総合内科専門医)・日本リウマチ学会指導医・日本消化器病学会指導医・日本消化器内視鏡学会指導医・日本リウマチ財団リウマチ登録医・日本医師会認定産業医

【専門分野】
脊椎関節炎(強直性脊椎炎・関節症性乾癬等)・リウマチ性疾患